位置測位技術で移動を可視化して活用する

近年、車両の運行管理、人の移動軌跡、場所の特定、モニタリングなど各種業務・サービスのDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが活発に行われています。

これらの取り組みにおいて、移動を伴うモビリティ機器や人の動態情報、位置情報は不可欠です。また、動態情報・位置情報を各種機器から取得可能な状態情報を組み合わせて分析データとして活用もできます。

そこで、本記事では位置情報を取得する方法や位置情報の活用例をご紹介いたします。


位置情報を取得する方法にはいくつか種類があります。それぞれ特長が異なるため、位置情報を活用する目的に合わせて使い分けることが大切となります。

位置情報を取得する主な方法として以下の4種類が挙げられます。

  • GPS
  • Wi-Fi
  • ビーコン
  • SLAM

以降でこれら4種類について概要と特長を説明いたします。

  • GPS

GPSは、人工衛星から発信された電波を利用して、位置情報を計測し位置情報データを取得できます。日本の上空には人工衛星「みちびき」が周回しているため、建物などの電波の障害物の影響を受けにくく、精度の高い位置測位が可能です。しかし、宇宙から電波を受信する性質上、建物の中や地下など電波を遮断する環境では使いづらいという欠点があります。
GPSは、私たちが日常で使用しているカーナビゲーションや地図アプリなどで使われています。

  • Wi-Fi

Wi-Fiは、無線LAN規格の1つです。複数のWi-Fiアクセスポイントから発信されている電波の強度から、電波を受信したスマートフォンやパソコンなどとの距離を測定し、位置を測位します。GPSの電波が届きづらい建物の中や地下でも利用できる点が強みです。欠点としては1つのアクセスポイントで把握できる範囲が狭く、アクセスポイントが少ないと情報の精度が落ちてしまう恐れがあります。

  • ビーコン

ビーコンはBLE(Bluetooth Low Energy)を利用したシステムです。複数のビーコンから発信される電波をスマートフォンなどで受信し、その電波の強さからビーコンまでの距離で測位します。強みとしてはGPSの電波が届かない室内で位置測位ができる点、また電力消費が少なく小規模での運用であれば低コストで導入が可能な点です。欠点としては、効果範囲が狭いため広範囲で運用を考えている場合はビーコンが複数個必要になり、コストがかかってしまいます。

  • SLAM

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)は、自身が現在位置を推測する自己位置推定と周辺の状況を把握する環境地図作成を同時に行う技術の総称です。自動運転や自律移動ロボットなどで活用されています。GPSの電波が届かない建物内でも環境地図を作成することで自己位置の推定ができるのが特長です。


位置情報を取得する技術の活用シーンをご紹介いたします。

  • GPSトラッカーを取り付けた荷物のトラッキング

GPSトラッカーを荷物に取り付けた活用例をご紹介いたします。
荷物に取り付けたGPSトラッカーから位置情報等の情報を取得し、地図上に表示することで荷物がどこにあるかを確認できます。また、温度や衝撃などの情報が取得できるトラッカーであれば、それらの情報も把握できます。これによりトラッキング対象の荷物の現在位置だけではなく「適切な環境で保管されているか」、「丁寧に扱われているか」などを把握できます。

  • 屋内で稼働しているロボットや車両の運行管理

続いて、屋内で稼働しているロボットでの活用例をご紹介いたします。
ロボットに位置情報を収集できるモジュールを取り付けて、屋内での移動の軌跡を確認できます。最近だと飲食店で料理を運ぶロボットや工場内で荷物の運搬を行うロボットなど、業務の省人化を実現するロボットをよく目にします。そういったロボットの動線を見える化することで経路の効率化や混み具合の分析への活用が見込めます。

今回ご紹介した活用例は、NSWが提供している位置情報ソリューション「NSW-MaaSプラットフォーム」を活用することで実現できます。
他にもさまざまな場面で活用できますので、詳しくはHPをご覧ください。

MaaSプラットフォーム